塗装に興味がある方なら「パテ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「パテ」とは、サフェーサーでは埋められない深い傷やへこみを平らにするために使用するペースト状の下塗り塗料の事で、パテベラを使用してパテを盛り、研磨ペーパーで研磨して形を整えます。
今回の記事では、「パテの種類」「パテの混ぜ方、盛り方、削り方」などを詳しく解説していこうと思います。
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パテの種類
自動車用のパテは、作業性、研磨性の良い「ラッカーパテ」と深い凹みや深い傷を埋めることが出来る「ポリエステルパテ」を主に使用します。
ラッカーパテ
ラッカーパテとは、硬化剤を混ぜ合わせない1液パテの事で、プラサフ塗装後に残った巣穴や、0.2mm以下の小傷などを修正するためだけに使用します。
パテ伸びが良く、早く乾燥し、研磨性が良いのが特徴です!
ラッカーパテを使用する時は、ゴムヘラを使って しごき付け と同じようにパテ盛りします。
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ポリエステルパテ
ポリエステルパテとは、不飽和ポリエステル樹脂と体質顔料を混ぜ合わせたパテの事で「鈑金パテ」「中間パテ」「ポリパテ」などの種類があります。
鈑金パテ
深い傷や大きなへこみを埋めることが出来る厚付け可能なポリエステル系パテで、20mm~30mm程度まで肉盛りすることが出来ます。
厚付けが出来る鈑金パテですが、「研磨が大変」「巣穴がたくさん出来る」といった欠点もあります。
鈑金パテには、ガラス繊維を混ぜ合わせたグラスファイバーパテや、カーボン繊維を混ぜ合わせたカーボンファイバーパテ、番手が80番の厚付けパテ、粗目パテなどがあります。
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中間パテ
鈑金パテの厚付け性とポリパテの研磨性を兼ね備えたポリエステル系のパテで、10mmまで肉盛りすることが出来ます。
厚付けが出来て、巣穴もあまり出来ず、パテ伸びも良いので扱いやすいです。
中間パテは、番手が120番のパテや中目パテなどがあります。
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ポリパテ
鈑金パテの巣穴や、ペーパーの研磨傷を埋める役割や、中間パテ研磨後の塗装面の歪み修正などに使用するポリエステル系パテで、2mm程度までしか肉盛りすることが出来ません。
※主にパテ作業の仕上げに使用するパテです。
ポリパテは、番手が180番のパテや細目パテなどがあります。
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気温で使い分けることも大切!
自動車用のパテは、使用する時の気温によっても使い分ける必要があります。
低温タイプ(冬用パテ)
低温タイプのパテは冬用のパテで、パテの使用温度は約5℃~約15℃と言われています。
冬用のパテを気温の高い夏に使用すると、パテの硬化スピードが早すぎてパテと硬化剤を混ぜ合わせている段階で固まってしまいます。
標準タイプ(春・秋用パテ)
標準タイプのパテは春、秋用のパテで、パテの使用温度は約15℃~約25℃と言われています。
春・
秋用のパテを温度が低い冬に使用してもパテの硬化スピードが少し遅いだけで、特に問題はありませんが、温度の高い夏に使用すると、パテの硬化スピードが早すぎてパテ盛りをしている途中で固まってしまいます。
高温タイプ(夏用パテ)
高温タイプのパテは夏用のパテで、パテの使用温度は約25℃~約35℃と言われています。
夏用のパテを温度が低い冬に使用しても、パテの硬化スピードが遅いだけで、効果を促進させるためのヒーターを持っている方なら特に問題はありません。
自動車用のパテ(プロ用)は、ネット購入することが出来ますが、冬は低温タイプ、春明は標準タイプ、夏は高温タイプを販売していることが多いです。
※必ずどこかに記載してあるので、確認をしてから購入してください!
パテの扱い方
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フェザーエッジを作ろう
フェザーエッジとは、旧塗膜を研磨ペーパーで研磨し、鉄板が見えている場所の塗膜の段差を滑らかに仕上げた境目の事です。
フェザーエッジを作ることで、パテやサフェーサーの面出しがやりやすくなります。
👇 フェザーエッジを画像とイラストで解説 👇
缶の中のパテをよく混ぜる
初めて使用するパテや長い期間放置されたパテ缶のフタを開けると、缶の中で体質顔料と樹脂が分離していることが多いです。(体質顔料が下に沈み、樹脂が上に溜まっていることが多い)
なのでパテを使用する前は、必ず缶の中のパテをヘラや混ぜ棒などで下から上にすく上げる様によく混ぜることが大切です!
パテと硬化剤を混ぜ合わせる
1、パテボードに必要な量のパテと規定量の硬化剤を取り出します。
2、ヘラで硬化剤をパテの上に乗せ、ヘラ先で硬化剤が全体に行き渡るまで混ぜます。
3、パテをヘラですくい、パテボードに押しつぶすように混ぜます。
パテの中に空気が混入しないように混ぜるのがポイントです!
👇 パテの混ぜ方を動画で解説 👇
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パテの塗布
しごき付け
パテベラを立て、凹みや傷に押し込むようにパテを塗布します。
パテを塗布した後でも、フェザーエッジが見えるくらい薄く塗布します。
盛り付け
パテベラを少し寝かせて、軽く力を入れて、空気が入らないように数回に分けてパテを厚盛りします。
パテの中に空気が混入すると、ハガレや強度不足、塗装後に塗装表面に小さな膨らみが出来る可能性があります。
ならし
パテベラを寝かし、厚盛りした余分なパテを取り除きつつ形を整えます。
パテの乾燥
パテは、主剤と硬化剤が混ざることで化学反応を起こし、自らの反応熱で硬化します。
パテを塗布した後、遠赤外線ヒーターなどで熱を加えている様子をよく目にすると思いますが、乾燥時間を短縮する目的で熱を加えています。
外部から熱を加えなくても自らの反応熱で硬化するので、熱は加えなくても大丈夫です!
パテが乾燥しているかの確認方法
パテがしっかり乾燥しているか確認したい場合は、パテの厚みが薄い部分を爪で軽く引っかきます。
しっかり乾燥している場合は、爪で引っかいた部分が軽く削れて白い線が入ります。(画像 右)
まだ乾燥していない場合は、パテがポロっと剥がれます。(画像 左)
パテの研磨
パテの研磨は、一定方向に研磨すると歪みが出来るので、縦、横、斜め 色々な方向に研磨する。
パテの研磨は、粗削り → 仕上げ の順で行います。
👇 研磨ペーパーの使用例 参考にしてみてください 👇
粗削りをする時は粗目のペーパーを使用し、少し力を入れてパテを研磨していきます。
粗削りが終わったら、研磨ペーパーを目の細かい物に変更し、力をあまり入れず慎重に研磨していきます。
パテの歪み確認
パテを研磨した後の歪みの確認は、力を入れず、目をつぶり、手のひら全体でパテ面を色んな方向に触って確認します。
利き手でパテを研磨して、逆手でパテの歪みを確認します!
パテベラの洗浄
パテ作業を行った後は、パテベラを綺麗に洗浄する必要があります!
洗浄方法
パテベラの洗浄には、シンナーとウエスを用意します。
(ウエスは、ティッシュやキッチンペーパーなどでもOK!)
洗浄方法はとても簡単で、ウエスにたっぷりシンナーを染み込ませて、パテベラを拭き上げるだけです。
※シンナーを染み込ませずウエスで拭き上げるだけだと、パテが伸びるだけでうまく洗浄できません。
ヘラに付着したパテを洗浄しなかったらどうなるのか?
パテ作業後、綺麗に洗浄を行わなかったパテベラです。
鈑金パテ、中間パテ、ポリパテなど、様々なパテが完全硬化してしまっている状態です。
左が綺麗なパテベラでパテを盛った画像で、右が汚れたパテベラでパテを盛った画像です。
汚れたぺ手ベラでパテ盛りを行うと、盛ったパテにスジが入ってしまいます。
パテが綺麗に盛れないと成形が大変になるので、パテ作業を行った後は、必ずすぐにパテベラの洗浄を行いましょう!
まとめ
事の大切な内容をまとめると、
- パテには「鈑金パテ」「中間パテ」「ポリパテ」などの種類があり、凹みや傷の深さに応じて使い分ける必要がある。
- 初めて使用するパテや長い期間放置されたパテは分離していることが多いので、使用する前に缶の中でよく混ぜる。
- 必ず規定量の硬化剤を混ぜ合わせる。
- パテを混ぜる時は、空気を含ませないように素早く混ぜる。
- パテを塗布する時は、必ず「しごき付け」を行う。
- パテの厚みが薄い所は、乾燥が遅い。
- パテの研磨は、一定方向に研磨すると歪みが出来るので、色々な方向に研磨する。
- パテ作業を行った後は、必ずすぐにパテベラの洗浄を行いましょう!
パテ作業は、塗装を行う前の塗装面を平らにする目的で行います。
「パテの種類」「パテの混ぜ方、盛り方、研磨のやり方」「パテベラの洗浄方法」を詳しく解説しましたので、是非参考にしてみてください👍
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