綺麗に塗装が出来たはずなのに「乾燥後に変な模様が浮かびあがっている」「変なブツブツが出来ている」「塗装がなかなか乾燥しない」なんて経験ありませんか?
塗装が乾燥した後に起こるトラブルは、塗装直後には分からないので時間が経ってから気付くことが多く、磨き作業で修正するか、塗装をやり直すしかありません。
そこで今回は、塗装後に起こるトラブルの種類と原因、そしてその対処法についてについて詳しく解説していこうと思います。
塗装が乾燥した後に起こるトラブルは、下地作業に問題があることが多いです!
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トラブル① つや引け、吸い込み
「ツヤ引け」とは、時間の経過とともにツヤが無くなる現象です。
塗装直後はツヤがあるのに、乾燥している間にツヤがほとんど無くなってしまいます。
- 下塗り塗料 (プラサフ、色) が乾燥不十分の状態でクリアを塗装した
- クリアの硬化剤が少ない
- クリアに混ぜ合わせるシンナーの量が多く、クリアの膜厚が薄い
- 乾燥不十分でコンパウンド磨きを行った
- 下塗り塗料 (プラサフ、色) しっかり乾燥させる
- 使用する塗料のカタログに記載されている割合でシンナーを混ぜ合わせる
- クリアの膜厚を適正にする
- 軽度の場合は、完全乾燥後コンパウンドで磨く
- 重度の場合は、800番~1000番程度のペーパーで平滑に研磨し、水拭き、脱脂後に再塗装する
トラブル② ピンホール
「ピンホール」とは、塗膜中の溶剤が揮発する前に塗膜表面が乾燥して、閉じ込められた溶剤が塗膜表面を突き破って揮発した時に生じる小穴またはふくれのことです。
主に、塗装を急激に加熱した時に発生します。
- シンナーが少ない塗料を一度に厚塗りした
- パテやサフェーサーの乾燥が不十分
- パテに巣穴があった
- 塗装後に急激に加熱した
- 使用する塗料のカタログに記載されている割合でシンナーを混ぜ合わせる
- 塗装は1度に厚塗りせず、薄く3回~4回塗装する
- パテやサフェーサーを十分に乾燥する
- 塗装後の乾燥はヒーターを近づけ過ぎない
- 表面の小さく浅い凹みは、2000番~3000番のペーパーで研磨し、コンパウンドで磨いて仕上げる
- 深い凹みや膨れたピンホールは、800番~1000番程度のペーパーで平滑に研磨し、水拭き、脱脂後に再塗装する
トラブル③ 硬化不良
「硬化不良」とは、ヒーターで温めたり、自然乾燥させても乾燥しない状態のことです。
上の画像は、時間が経っても触ると指紋が付着してしまう塗装面です。
- 硬化剤の量が少ない
- 硬化剤が古かったり、容器のふたが開いていたため硬化剤が劣化してしまっている
- シンナーの量が多すぎる
- 使用する塗料のカタログに記載されている割合でシンナー、硬化剤を混ぜ合わせる
- 硬化剤の入れ物のふたは使用ごとに必ず閉める
- 古すぎる硬化剤は使用しない(2年以上放置した硬化剤は危険)
- 乾燥時間を長くし、乾燥後につや引けがあればコンパウンドで磨いて仕上げる
- 長めに放置しても乾燥しない場合は、塗装を剥離して再塗装する
トラブル④ ブリスター
「ブリスター」とは、塗装後数か月して塗膜に大小の膨れが生じる現象のこと。
鉄板と塗膜、塗膜と塗膜の間に異物や油分・研ぎカスなどが残っていると、密着力が低下しブリスターが起こりやすくなるので注意です。
- 塗装を行う場所の不純物を綺麗に除去せず塗装した
- エアーコンプレッサーからのエアーに水分、油分が含まれている
- 鉄板を湿気が高い場所に長時間放置し、錆びた上から塗装した
- 耐水性や密着性の悪い塗料を使用した
- 剥離剤で塗装を剥離した後の水洗いや脱脂が不十分
- 塗装を行う場所の水拭き、脱脂は入念に行う
- エアーコンプレッサーの水分、油分は80%以上除去出来るように設備を整える
- 密着性や耐水性に優れた塗料を使用する
- 錆びが発生している場合は、錆を除去してから塗装をする
- ブリスターが発生している範囲の塗装を完全に剥離し、下地処理からやり直して再塗装する
トラブル⑤ はがれ・密着不良
「ハガレ」とは、塗装された塗膜の密着が悪く、素材 (鉄板、アルミ板、未塗装樹脂など) の上に塗装された塗膜、または塗装の上に塗装された塗膜が浮き上がって剥がれる現象。
- 足付けが不十分
- 塗装を行う場所の不純物を除去せず塗装した
- エアーコンプレッサーからのエアーに水分・油分が含まれている
- 鉄板を湿気が高い場所に長時間放置し、錆びた上から塗装した
- 耐水性や密着性の悪い塗料を使用した
- 剥離剤で塗装を剥離した後の水洗いや脱脂が不十分
- 塗装を行う場所の水拭き、脱脂は入念に行う
- エアーコンプレッサーの水分、油分は80%以上除去出来るように設備を整える
- 密着性や耐水性に優れた塗料を使用する
- 錆びが発生している場合は、錆を除去してから塗装をする
- 塗装剥がれが発生している範囲の塗装を完全に剥離し、下地処理からやり直して再塗装する
トラブル⑥ ペーパー目
「ペーパー目」とは、下地処理時( パテ研ぎなど )の研磨ペーパーの粗い傷が、上塗り塗料のシンナーにより傷が広がり、塗装後塗装面に現れた状態です。
上の画像の矢印の先の蛍光灯の映りがおかしい場所がペーパー目です。
- 目の粗いペーパーを使用した
- 粘度の低い塗料を、1度に厚塗りした
- 蒸発の遅いシンナーを多く入れすぎ
- 目の粗いペーパーを使用した場合は、ペーパーの番手を徐々に上げていきペーパー目を消す
- 使用する塗料のカタログに記載されている割合でシンナーを混ぜあわせる
- 1度に厚塗りしないで、3~4回程度に分けて塗装する
- 軽度の場合は、塗装完全乾燥後にコンパウンドで磨いて仕上げる
- コンパウンド磨きで消えない場合は、1000番程度のペーパーで平滑に研磨し、脱脂洗浄後に再塗装する
トラブル⑦ パテ跡
「パテ跡」とは、パテを塗布した場所周辺の旧塗膜が補修塗料の溶剤で溶けてしまい、チヂミ上の段差が出来た状態の事です。
上の画像の矢印の先の丸い型が浮き上がっているのがパテ跡です。
- ラッカー塗料の上に、パテを塗布した
- サフェーサーや上塗り塗料を1度に厚塗りした(薄く3回ほど塗り重ねることを意識しましょう)
- 塗料粘度が低い(シンナーの割合が多い、シャバシャバ)
- パテの乾燥不足
- パテは、ラッカー塗料の上に塗布しない
- 使用する塗料のカタログに記載されている割合でシンナーを混ぜあわせる
- パテの硬化剤は、カタログに記載されている割合で混ぜあわせる
- ほんの少しパテ跡が出てしまった場合は、2000番~3000番のペーパーで研磨しコンパウンドで磨く
- 軽度の場合は、1000番程度のペーパーで平滑に研磨後脱脂洗浄し、再塗装する
- 重度の場合は、パテ跡部を320番程度のサンドペーパーで平滑に研磨し、サフェーサーを塗装する
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